線熱貫流率・代表的な仕様の計算例の値を用いる方法(布基礎の場合)
2024年12月の外皮性能計算の改訂にて、布基礎での線熱貫流率について、外断熱だけでなく、内断熱についても適用範囲と線熱貫流率の値の表が示され、利用できるようになりました。
今回はこの布基礎の場合の土間床の線熱貫流率の求め方を解説します。
基礎の外壁部分(立ち上り)については、こちらのコラムに計算方法を記載しております。
(布基礎もべた基礎も立ち上り部分は同じ計算方法となります)
土間床部分の線熱貫流率を出すためには、まず計算しようとしている仕様が、適用範囲であるかどうかを確かめます。
適用範囲の条件は次の通りです。
・(A)根入れ深さ … 500㎜以上
・(B)基礎壁の幅 … 120㎜以上
・(C)基礎の心から室内側の水平長さ … 問わない
・(D)基礎壁の高さ … 問わない
・(F)土間床上端と地盤面の差 … 土間床上端が地盤面と同じか高い場合に限る。寸法は問わない。
・(G)土間床スラブの厚さ … 問わない
・(H)底盤の厚さ … 問わない
・(I)底盤の幅 … 問わない
・(M)基礎壁の外側に設置する断熱材の熱抵抗 … 0.0~10.0㎡K/W以下
・(N)基礎壁の内側に設置する断熱材の熱抵抗 … 0.0~10.0㎡K/W以下
・(O)土間床上端の上に設置する断熱材の熱抵抗 … 0.0~10.0㎡K/W以下
・(P)外気側の鉛直方向に設置する断熱材の根入れ深さ … 根入れ深さ(A)を満たしていれば寸法は問わない。
・(Q)底盤の上に設置する断熱材の基礎立上りからの長さ … 問わない
・(R)土間床下端の下に設置する断熱材の熱抵抗 … 0.0~10.0㎡K/W以下
・(S)土間床下端の下に設置する断熱材の壁から室内側の水平長さ … 問わない
・(T)基礎壁の内側から土間床を貫通して設置する断熱材の熱抵抗 … 0.0~10.0㎡K/W以下
このうち、M・N・O・R・Tの熱抵抗の値については、次の計算式で求めることができます。
熱抵抗(㎡K/W)=断熱材の厚さ(㎜)/1000/断熱材の熱伝導率(W/mK)
使用している断熱材の熱伝導率は、メーカーのHPなどに記載があることが多いです。詳しくはメーカーにお問い合わせください。
これらの範囲内に収まらない場合は、次で説明する表の値を使うことができません。その場合は、定数法を用いるか、定常二次元伝熱計算を使って線熱貫流率を計算するWEBアプリが提供されていますので、こちらを使って計算することになります。
https://ground.app.lowenergy.jp/
入力や操作方法については、マニュアルが提供されていますのでご参照ください。
仕様が適用範囲内であれば、次の表から基礎底盤の線熱貫流率を求めていきます。
土間上断熱の場合は、こちらの表を使います。Q・O・M・Nの凡例は上記適用範囲の図・説明を参照してください。
(平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)現行版、第二章第三節熱貫流率及び線熱貫流率より引用)
土間下断熱の場合は、こちらの表を使います。S・R・M・Tの凡例は上記適用範囲の図・説明を参照してください。
(平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)現行版、第二章第三節熱貫流率及び線熱貫流率より引用)
例えば布基礎・土間下断熱で次のような仕様の場合、
・(A)根入れ深さ … 500㎜
・(B)基礎壁の幅 … 150㎜
・(F)土間床上端と地盤面の差 … 土間床上端は地盤面より高い
・(M)基礎壁の外側に設置する断熱材の熱抵抗 … 設置していない(0.0㎡K/W)
・(R)土間床上端の上に設置する断熱材の熱抵抗
→押出法ポリスチレンフォーム1種(熱伝導率0.04W/mK)を50㎜厚さで設置。
この場合は50/1000/0.04=熱抵抗1.25㎡K/Wとなります。
・(P)外気側の鉛直方向に設置する断熱材の根入れ深さ …(A)を満たしているので問題なし
・(S)土間床上端の上に設置する断熱材の壁から室内側の水平長さ … 450㎜
・(T)基礎壁の内側から土間床を貫通して設置する断熱材の熱抵抗
→押出法ポリスチレンフォーム1種(熱伝導率0.04W/mK)を50㎜厚さで設置。
熱抵抗は(R)の計算と同じで、熱抵抗1.25㎡K/Wとなります。
下のように表から該当する箇所を拾い、線熱貫流率は「0.54 W/(m・K)」とわかります。
Energy ZOOでは、各部の断熱材の熱抵抗を計算したり、表から読み取る必要はありません。
・(Q)底盤の上に設置する断熱材の基礎立上りからの長さ
・(O)底盤の上に設置する断熱材
・(N)立ち上りの内側に設置する断熱材
・(S)底盤の下に設置する断熱材の水平長さ
・(R)底盤の下に設置する断熱材
・(M)立ち上りの外側に設置する断熱材
・(T)基礎側の内側から土間床を貫通して設置する断熱材
これらの長さや断熱材の種類、厚みを入力するだけで、該当する線熱貫流率を導くことができます。
手間もかからず、手軽に良い性能値で計算することができます!
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