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#2021年4月変更 #取得日射補正係数 #外皮性能計算

取得日射熱補正係数(fC・fH)の計算方法(ハ:日よけ効果係数と斜入射特性を用いる方法)

開口部の取得日射熱補正係数fCfHの値の計算について、ハ)日よけ効果係数と斜入射特性を用いる方法(Energy ZOOでは「新詳細法」と表示しています)での計算方法を説明します。

開口部の取得日射熱補正係数fCfHは庇の効果を表現する係数で、次の3種類の算出方法が認められています。

 イ) 地域の区分、方位及び日よけの形状によらず定められた値を用いる方法
   (定数法)
 ロ) 地域の区分、方位及び開口部の上方の日よけ(オーバーハング)の形状に応じて
    簡易的に算出する方法(簡易法)
 ハ) 地域の区分、方位及び日よけの形状に応じて算出した
   日よけ効果係数とガラスの仕様に応じた斜入射特性を用いる方法
   (Energy ZOOでは『新詳細法』と表示しています)
 
今回はこの中の『ハ)新詳細法』の計算について解説いたします。


ハ)新詳細法の計算では、上方の日よけ(オーバーハング)だけでなく、サイドフィンの日よけ効果も反映させることができます。

この計算では、開口部の取得日射熱補正係数fCfHを以下の計算式で求めます。
 
   fC=冷房期の垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率×冷房期の日よけ効果係数

 
   fH=暖房期の垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率×暖房期の日よけ効果係数
 
それでは、fCfH算出に必要な2つの数値(垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率日よけ効果係数)を求めていきます。


垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率は、次の表から該当する値を読み取ります。
 例えば、
 
地域区分:6地域
ガラス仕様の区分:2層
(ガラス自体の総枚数で計算します。二層複層ガラス窓+単板ガラス窓の二重窓などは「3層以上」、単板ガラス+単板ガラスの二重窓は「2層」、三層以上の複層ガラス窓がある場合は「3層以上」となります)
期間:冷房
方位:南
 
の場合、垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率は「0.79」となります。


日よけ効果係数は、「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」内の「日よけ効果係数算出ツール」で算出を行います。
 
住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム
日よけ効果係数算出ツール

窓ごとに、日よけ(庇)の各寸法を求めておきます。
 
  x1:日よけ左端から開口部等の左端までの水平方向の距離(m)
    (4mの規定値を使うこともできます)
  x2:開口部等の幅寸法(m)
  x3:日よけ右端から開口部等の右端までの水平方向の距離(m)
    (4mの規定値を使うこともできます)
  y1:日よけの根元から開口部等の上端までの垂直方向の距離(m)
    (4m以上の場合、入力は不要です)
  y2:開口部等の高さ寸法(m)
  zx+:(サイドフィンがある場合のみ)
    開口部等の右側に設置された日よけの壁面からの張り出し寸法(m)
  zx-:(サイドフィンがある場合のみ)
    開口部等の左側に設置された日よけの壁面からの張り出し寸法(m)
  zy+:開口部等の上方の日よけ(オーバーハング)の壁面からの張り出し寸法(m)


各選択肢を選択、及び入力欄に必要な数値を入力し右上の計算ボタンをクリックすると、日よけ効果係数が表示されます。

例えば、
 
  建築物用途:住宅
  地域区分:6地域
  外壁の方位:南
  サイドフィンの評価:しない
  x1:規定値(4m)
  x2:2.56m
  x3:規定値(4m)
  y1:0.06m
  y2:2.2m
  zy+:1.0m
 
の場合、入力はこうなります。右上の計算ボタンをクリックすると、

冷房期の日よけ効果係数=0.551
暖房期の日よけ効果係数=0.672
 
となります。


得られた2つの値を使って、次の窓の日射熱取得量を求めてみます。
 
窓の方位:南
地域区分:6地域
面積:5.632㎡(2,560㎜×2,200㎜)
日射熱取得率:0.37(W/㎡)/(W/㎡)
ガラス仕様の区分:2層
方位係数:6地域、南
     →冷房期 0.434 暖房期 0.936
方位係数の求め方はこちら
 
まず取得日射熱補正係数fCfHを求めます。

 fC=冷房期の垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率×冷房期の日よけ効果係数
  =0.79×0.551
  =0.43529

 fH=暖房期の垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率×暖房期の日よけ効果係数
  =0.87×0.672
  =0.58464
 
となります。
 
なので窓の日射熱取得量は、
 
・冷房期の日射熱取得量
 =面積5.632㎡×fC 0.43529×日射熱取得率0.37×方位係数0.434
 =0.3936704257024
 
・暖房期の日射熱取得量
 =面積5.632㎡×fH 0.58464×日射熱取得率0.37×方位係数0.936
 =0.9994815148032
 
となります。


庇の各寸法及びガラスの特性も含めて考慮した計算を行うため、日射遮蔽効果を最も正確に反映した日射熱取得量を求めることができます。
そのぶん取り扱う数値も多く、算出にはやはり手間と時間がかかってしまいます。

Energy ZOOでは、庇の計算法がワンボタンで選べるだけでなく、必要な値を入力するだけで自動で計算を実行してくれます。
Energy ZOOでの新詳細法では、「日よけ効果係数」は「日よけ効果係数算出ツール」での計算が必要ですが、「垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率」は窓仕様から自動で算出して計算を行います。
 
さらに、付属部材の効果を日射熱取得率にも反映できるため、よりリアルな条件下での計算ができるようになっています。

 
入力方法についてもう少し詳しく知りたいユーザー様は基本研修の入力ワークショップを、導入前のお客様はオンライン説明にてご相談ください。

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