設計の判断に、性能という裏付けを。 ― FANFARE設計部門がEnergy ZOOを現場で使う理由 ―
省エネ性能が、設計の前提条件となりつつある一方で、「計算は必要だと分かっているけれど、設計にどう活かせばいいのか分からない」「そこまで社内で検討する時間が持てない」そんな設計士の声は、今も少なくありません。
Energy ZOOを運営するFANFARE Inc.の設計士は、設計の初期段階から住宅性能を可視化し、プランや断熱仕様などの設計上の判断に活かすとともに、その内容を工務店への提案やお施主様への説明までにEnergy ZOOを活用しています。
今回のコラムは、FANFARE Inc.に新しく加わった経験と実績豊富な一級建築士が約半年の実務で
「Energy ZOOを実際に使ってどんな影響があったか」
「設計の考え方や提案がどう変わったのか」
話を伺いました。

Yさん
FANFARE Inc. 設計部門
2025年入社
設計士歴:約20年
福岡県生まれの一級建築士。2003年に自身の建築士事務所を東京に設立。敷地条件を丁寧に読み取り、光や風、素材の心地よさを活かした、シンプル+遊び心ある住まいづくりが持ち味。(東京建築賞最優秀賞や茨城建築文化賞優秀賞など受賞多数。『商店建築』『住まいの設計』『新建築住宅特集』など数多くのメディア掲載実績あり。)
「省エネ計算は“どうしよう”がずっと残る存在だった」
―Energy ZOOを知ったきっかけは?
実は、FANFAREに入社するまでEnergy ZOOの存在を知りませんでした。
これまでは、省エネに関する取り組みがそこまで活発な環境ではなく、周囲の設計士にも「省エネ計算は必要だけど、どう進めればいいのか分からない」という声が多く、外注に任せているケースがほとんどでした。
私自身は、温熱環境に詳しい知人がいたため、その方に頼ることもありましたし、場合によっては外注していました。ただ、外注すると時間がかかり、その後は役所との申請関係のやり取りが発生するなど、思ったほど手間が減らない。
結局、「どうしよう」という悩みがずっと残っていました。
―初めてEnergy ZOOのシミュレーションを見て
最初にEnergy ZOOで、外皮性能計算・室温シミュレーションを使ったプレゼンの場に参加した際、住宅仕様がまだラフな設計の初期段階でも性能数値が算出でき、それを室温として伝えられることを知り、外壁や窓、断熱の仕様によって室温にどれだけ差が出るのかシミュレーションできる点に驚きました。
仕様を変更しながらリアルタイムで結果を確認できるのは、設計者として非常に便利だと感じましたし、「どうしよう」という悩みが解消されると思えました。
また、温熱・省エネに関する情報は、国が出している資料やガイドラインなどが、中心で、設計士の実務を行うにあたり、どこか距離を感じてしまうことがありましたが、Energy ZOOは動物のキャラクターで、直感的に「入りやすい」「難しそうではない」という印象を受けました。

―住宅性能の説明と、お客様・工務店の反応
Energy ZOOで実際にどういったことができるのか概要やシミュレーションを社内で教わり、現在は工務店モデル案件のプレゼンを中心に活用しています。
工務店ごとに、よく使う仕様がある程度決まっているため、基本的にはその仕様をベースに提案することが多く細かい性能説明まで踏み込まないケースもあります。
FANFAREの設計は、性能はもちろん意匠面も大切にしているため、「断熱性能を優先するのか」「デザインを優先するのか」で迷う場面も少なくありません。
そうしたときに、例えば
「木製サッシに変更した場合はどうなるか?」
「複合サッシの場合は?」
といった外皮性能の検証を行い、「この仕様に変えると、これくらいの数値になります」と具体的に示せる点が大きいと感じています。
「木製にすると木材の素朴感で温かみが増し、住宅の印象が変わります、全面採用ではなく一部だけでも性能数値が良くなります。」と、数字を伴って説明できるため説得力があり、お客様や工務店の方も納得しやすい。
結果として、判断や選択がしやすくなる点は工務店にとっても大きなメリットだと思います。
今まで採用していた仕様を見直すきっかけになった。
―Energy ZOOを使ってよかった!という事例があれば教えてください。
ある工務店から、「デザイン重視の方向に舵を切りたい」という相談を受け、さまざまな提案をしていたときのことです。
その工務店では、これまで玄関に断熱材を入れない仕様を採用していて、理由を聞くと「狭小住宅が多く、断熱材を入れると狭くなってしまうから」とのことでした。
しかし、検討していたプランは比較的面積に余裕があったため、「玄関に断熱材を入れた場合どうなるか」をEnergy ZOOでシミュレーションし比較してみました。
すると、
断熱材なし:Ua値 0.47
断熱材あり:Ua値 0.42
と、玄関に断熱材を入れただけで数値が大きく改善しました。
あまりにも変化が大きかったため、最初は入力を間違えたのではないかと思ったほどです。
この結果を工務店様にお伝えすると、「その数値であれば今後は玄関に断熱材を入れます」と即決されました。
数値として効果がはっきり見えた、非常に印象的な事例だったと思います。

―Energy ZOOの「推しポイント」は?
何より、工務店やお施主様に説得力のある説明がしやすい点です。
単に「性能数値はこうです」と数字を提示するだけでなく、室温グラフで視覚的に確認できたり、実際にかかる光熱費など“お金の話”として示せるため、特に省エネに関する専門知識のないお施主様相手でも納得いただきやすいと感じています。
個人で活動している設計士こそ、活用する価値があるのではないかと感じます。
また意匠系にこだわる設計士はMacを使用している方も多いですが、Energy ZOOはWindowsとMacの両方でも使える点も魅力ですね。
また、Energy ZOOは単なる計算ツールではなく、設計の自由度を広げてくれる欠かせない存在になりました。これまで『どうしよう』と後回しにしがちだった時間は、今では『もっと良くしよう』と試行錯誤するためのクリエイティブな時間へと変わっています。省エネ性能を当たり前のものとして、そして何より楽しみながら設計に取り入れる。そんな、数値と感性が共鳴する住まいづくりを、これからも丁寧につみ重ねていきたいと考えています。
Yさん、ありがとうございました。
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